01住宅扶助は、8つある扶助のうちの1つです

住宅扶助は、生活保護の中でどういう扱いになっているのか。
まずそこから確認します。

生活保護法第11条第1項が、保護の種類を定めています。

保護の種類は、次のとおりとする。
一 生活扶助 二 教育扶助 三 住宅扶助 四 医療扶助 五 介護扶助 六 出産扶助 七 生業扶助 八 葬祭扶助

8種類あるうちの3番目が住宅扶助です。

そして同条第2項は、これらの関係を定めています。

前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。

単給とは1種類だけ、併給とは複数を合わせて、という意味です。
住宅扶助だけを受けることも、生活扶助と合わせて受けることも、条文上は想定されています。

02対象は「住居」と「住宅の維持に必要なもの」です

住宅扶助の対象が二つに分かれることを示す図解

では、住宅扶助は何に使えるのか。
範囲を定めているのは第14条です。

住宅扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一 住居 二 補修その他住宅の維持のために必要なもの

対象は2つに分かれています。
「住居」と、「補修その他住宅の維持のために必要なもの」です。

家賃という言葉は条文に出てきません。
「住居」という書き方です。
そして2号として、補修などの維持に必要なものが並んでいます。

家賃だけの制度ではない、ということが条文の書き方から読み取れます。

03原則は金銭給付、例外として現物給付があります

金銭給付と現物給付の関係を示す図解

次に、どうやって支払われるのかです。
給付の方法を定めているのは第33条で、範囲を定めた第14条とは別の条文になります。

読むときは「原則」と「但書」の2つに分けると分かりやすくなります。

住宅扶助は、金銭給付によつて行うものとする。
但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。

原則は金銭給付です。
但書として、現物給付によることができる場合が置かれています。

その現物給付の中身も、同条第2項に書かれています。

住宅扶助のうち、住居の現物給付は、宿所提供施設を利用させ、又は宿所提供施設にこれを委託して行うものとする。

宿所提供施設については、第38条第6項が定義しています。

宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯に対して、住宅扶助を行うことを目的とする施設とする。

つまり、住居の現物給付とは、この宿所提供施設を使う形を指しています。

04受け取るのは世帯主またはこれに準ずる者。特例も置かれています

交付先と代理納付の流れを示す図解

お金を受け取るのが誰かも、条文に書かれています。

住宅扶助のための保護金品は、世帯主又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。

第33条第4項です。
原則として、世帯主またはこれに準ずる者に交付されます。

そのうえで、第37条の2が特例を置いています。
長い条文ですが、見るのは「誰に支払えるか」と「支払った場合どう扱われるか」の2点です。

保護の実施機関は、保護の目的を達するために必要があるときは、…第三十三条第四項の規定により世帯主若しくはこれに準ずる者に対して交付する保護金品…のうち、介護保険料…その他の被保護者…が支払うべき費用であつて政令で定めるものの額に相当する金銭について、被保護者に代わり、政令で定める者に支払うことができる。
この場合において、当該支払があつたときは、これらの規定により交付すべき者に対し当該保護金品の交付があつたものとみなす。

条文の見出しは「保護の方法の特例」です。
本人に代わって、政令で定める者に支払うことができる、という規定になっています。

条文の後段に注目すると、その支払があったときは、これらの規定により交付すべき者に対して当該保護金品の交付があったものとみなす、と書かれています。
支払われた分は、本来交付すべき者へ交付されたものとして扱われる、という整理です。

住宅扶助は、上限の範囲内で家賃等の実費を支える制度です。
上限は自治体・世帯人数などで異なります。
敷金等や住宅の補修費も、必要性と条件に応じて対象になります。
代理納付は、福祉事務所が家主等へ直接支払う仕組みです。

05居宅が原則で、施設入所を強制されることはありません

居宅が原則であることを示す図解

住まいについては、生活扶助の側にも関係する条文があります。
第30条第1項です。
前半が原則、ただし書きが例外という構造になっています。

生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする。
ただし、これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設…若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる。

原則は居宅、つまり自分の住まいで受けることになっています。

そのうえで、同条第2項が但書の効力を限定しています。

前項ただし書の規定は、被保護者の意に反して、入所又は養護を強制することができるものと解釈してはならない。

「解釈してはならない」という強い書き方です。
但書があるからといって、本人の意に反して入所を強制できるものではない、と条文自身が述べています。

06家賃の限度額は地域・世帯人数などで変わります

金額が条文の外で定まることを示す図解

住宅扶助の具体的な限度額は、法律の条文だけでなく地域ごとの基準を確認します。

本記事で参照した生活保護法の条項には、住宅扶助としていくらまで出るのかを定めた記述が含まれていません。
範囲を定めた第14条にも、給付の方法を定めた第33条にも、金額は書かれていません。

東京23区の単身世帯では、通常の家賃上限は月53,700円です。
実際の支給は家賃の実費が基本で、単身では床面積により限度額が下がる場合もあります。
地域ごとの額と適用条件は、福祉事務所へ確認してください。

金額については、管轄の福祉事務所にお尋ねください。

07転居は契約・支払い前に相談し、住所の変更を届け出ます

住まいが変わるときの届出を示す図解

転居を考えたら、契約や費用の支払いをする前に、転居の必要性、家賃の上限、敷金等や引越し費用の支給対象・必要書類を福祉事務所へ確認してください。
転居による居住地の変更は、速やかな届出も必要です。

被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

第61条です。
居住地の異動は、届出の対象として明記されています。

ここまでを整理すると、次のようになります。

論点 条文 内容
位置づけ 第11条第1項 8種類の扶助のうちの1つ
単給・併給 第11条第2項 必要に応じて単独でも組み合わせでも
範囲 第14条 住居/補修その他住宅の維持に必要なもの
給付方法 第33条第1項 原則は金銭給付、但書で現物給付
現物給付の中身 第33条第2項・第38条第6項 宿所提供施設の利用または委託
交付先 第33条第4項 世帯主又はこれに準ずる者
保護の方法の特例 第37条の2 本人に代わり政令で定める者へ支払える
居宅原則 第30条第1項・第2項 居宅が原則、意に反する入所の強制は不可
届出 第61条 居住地の異動はすみやかに届け出る

この表は、本記事で参照した条文の範囲をまとめたものです。
金額は、ここまで見てきた条項には含まれていません。